核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎 「写真術」

 写真屋の看板を眺めていた二人の青年。一人は写真の娘の美しさに感心します。もう一人の感想は。
 
 「僕は第一斯様な不完全なものに向て写真などと云ふ名を下すのが癪に障る、是は唯人の形のみを写してあるから写形術とか写影術と言はなければならん、苟(いやしく)も写真と云ふ名称を冠する以上は必ず其真を写して色合でも何でも鏡面に写る如く出来なければならん」
 
 というわけで、世界初のカラー写真の実用化をめざして、彼は写真館に弟子入りすることになるのです。
 村井弦斎の『都新聞』時代の連載小説、「写真術」(1894(明治27)年5月13日連載開始)の発端です。
 写真というやつは、英語でピクチャー(画像)ともフォトグラフィー(映像)とも申しますように、「絵のように美しくあること」と「鏡のようにありのままを映すこと」という、場合によっては相反しかねない要望にさらされています。
 この小説は、なりゆきで写真師になった二人の青年と、二つの写真館の娘(お絹と竹子)の四角関係を通して、写真というメディアはどうあるべきかを小説の形で論じています。
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