核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

創元社と新潮社についての個人的な思い出

 1990年代。新元号は平成。長く暗かったわがひきこもり時代。
 極度の対人恐怖症で外出もままならなかった十代のアンタルキダスは、何の展望も見えない日々の大半を新潮文庫創元推理文庫を読みふけってすごしたものです。特に次の二冊。
 星新一 「未来いそっぷ」 新潮文庫 
 E・C・タブ 「野望の惑星ハラルド」 創元推理文庫
 SFとショートショートの第一人者星新一については、ご存知の方も多いと思います。私に小説のすばらしさを学ばせてくれた、世界観と文章観の心の師匠ともいうべきお方です。
 タブの「デュマレスト・サーガ」(私はひそかに惑星シリーズと読んでました)は、ご存知ない方も多いかと思います
ので手短にご説明します。地球から人類が広まったことすら忘れられた遠未来の宇宙で、さすらいの渡り者アール・デュマレストが、故郷の惑星アースを求めていろんな惑星を旅する長編シリーズです。こちらも私の美意識とユーモア感覚(の偏り?)を決定づけた作品です。
 きみどり色の新潮文庫と、黒地の創元推理文庫SFの山をながめるたび、いつか作家になったら、どっちから本を出そうかなどと妄想したものです。
 その夢は、金輪際(日常用語よりも仏教用語の文脈で理解してください)捨てることにします。
 あのころとは違って、今では夢なんかよりも、実現すべき、そして実現可能な理想があるのですから。