核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

武田徹 「原発報道とメディア」 講談社現代新書 2011

 8月13日の記事(http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/archive/2011/08/13)に、「大江健三郎福島第一原発建設中には原発推進派であったこと、その過去をひたかくしにしていることは前に述べましたが、武田徹氏の新書にもその指摘があるそうです。いずれご報告します」と書いてから日がたちましたが、ようやく入手しました。
 同書40ページに「核開発は必要だということについてぼくはまったく賛成です」で始まる、大江健三郎『核時代の想像力』(新潮社、1970年)が引用されています。
 個々の論については賛成できない点もありますが(私はライホルド・ニーバーなど評価しません)、同じタケダでも邦彦氏とは段違いの緻密さです。私にとってはなつかしい、社会学者のロバート・マートンなんて名前にもお目にかかれたし。さすが恵泉女学園大学教授。こういう教授を持った学生さんはしあわせです。 
 結論にあたる第10章では、太平洋戦争下における正木ひろし桐生悠々・清沢きよし(さんずいに列)の反戦論を例に、国家や組織から独立した「一人ジャーナリズム」の重要性を論じています。当ブログも小なりとはいえ、一人ジャーナリズムの志を守りたいものです。