核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

武田邦彦の原発安全論―『偽善エネルギー』 幻冬社新書 2009

 喜べ大江健三郎。君は決して一人じゃない。
 (福島原発建設当時の大江の原発推進論については、次の記事http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/3295723.htmlをごらんください)
 武田邦彦『偽善エネルギー』(幻冬社新書 2009)から、原子力発電の安全性に関する記述を抜粋します。
 
   ※
 (ⅱ)日本の原発軽水炉」は安全である。
 では日本のような「安全第一」の国で使われている原発はどうかといえば、安心していいでしょう。欠陥原発などはもちろんなく、当然、きちんとしたものになっています。(53ページ)
 軽水炉さえ使っていれば、普通の運転では危険なことは起こらず、まったく安全であり、その安全性の程度は、石油や石炭を焚く普通の火力発電所より高いことは確実です。(165ページ)
 日本で巨大地震がくるところは決まっています。南は四国沖から北は東京湾までですから、その間の太平洋岸には原発を作らなければよいのです。(168ページ)
   ※
 
 ・・・もちろん、福島原発軽水炉です。
 単に技術的な未来予測が甘かった、というだけなら、まだ救いがあります。
 問題は同書の楽観論がすべてはずれた後の武田氏の対応です。同氏の2011年3月12日のブログをごらんください。
 『偽善エネルギー』で述べた軽水炉安全説への反省など一言も書かれていません。よくも「政府やNHKなどのマスコミは「原子力発電は安全に作られている」という幻想を国民に与えてきた」などと書けたものです。
 赤の他人ならどうでもいいけど、こういう本の著者略歴に「名古屋大学大学院教授を経て」なんて書かれるとなあ。自分の学歴を恥じたくなります。まあ、博士論文はきっちり提出しますけど。