今度は反戦劇ではなく、メタフィクションです。数年前に死んだ三大悲劇詩人の一人エウリーピデースを慕って、酒と演劇の神ディオニューソス自らが英雄ヘーラクレースの獅子皮をまとい(対ケルベロス用装備です)、死者の国に下るという筋です。
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ヘーラクレース 地下の冥界へ?
ディオニューソス そして、まだ下があればそこにもな。
ヘーラクレース 何が望みだ?
ディオニューソス 巧みな詩人を俺は求めているのだ。
「よき者はもはやなく、残るは悪しき者ばかり」だからな
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・・・冒頭で「下ネタは自粛する」と宣言した通り、古喜劇にしては比較的お上品な、狂言の太郎冠者ものみたいなノリで、ディオニューソスと従者の珍道中が始まります。渡し守カローンに倍額をふっかけられ、従者に歩いて遠回りさせたりしてます。アケローンって「湖」なのか?渡し守の存在意義は一体。
遊びで獅子皮を貸した従者がちやほやされるのを見て、取り返したとたんに飲食費を請求されたりしながら、ディオニューソスはエウリーピデースが待つ「プルートーンの横の座」にたどり着きます。人類最古の文学研究である『蛙』の真価はここからなのですが、長くなるので日を改めて。
一つ気になったのは、コロス(合唱)の次の個所。
「快適な方を転々と移るのは、器用な男に、テーラメネースのような性質の男にふさわしい」
テーラメネースが「器用な男」かどうかは、当ブログの7月29日記事(http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/archive/2011/07/29)をごらんください。『蛙』上演から1~2年後の話です。
アリストパネース。ひょっとして隠れクリティアス派?