最後まで読み返したのですが、第六章以降は君主国家や貴族国家のこまごまとした規定の話(顧問官は5人までとか、議員は5000人までとか)が続くばかりなので、ここらでまとめに入ろうかと思います。
スピノザが専制君主制を批判し、「国家状態の目的は生活の平和と安全とにほかならない」(58ページ)と宣言したことは評価されるべきです。しかし、『国家論』で』語られているのは主に一国「内」での安全についてであり、二国以上の国家「間」での平和を保つ手段についてはほとんど論じられていないのが惜しまれるところです。
ないものねだりをしても仕方がないので、スピノザ論はここでいったん終わりとします。