ただ、その数多い業績の中には、理解に苦しむこともありまして。
その一つは、フランスにエジプト征服をそそのかした一件です。「(ドイツ)帝国の安寧を保つためにはルイ十四世の侵略欲をドイツ以外のしかも出来るだけ遠隔の地へ逸らすことの必要性」(113ページ)を説き、1672年には実際にパリを訪れたそうです。
ライプニッツが
ドイツ統一や教会再統合の理想を抱いていた証拠はあるのですが、異教徒に対しての平和には無関心だったようです。
それが、人間は「我々に判断出来る限りの推定される神の意志に従って、振舞わなければならない」(『
形而上学叙説』 上掲書288ページ)といった
ライプニッツの哲学とどう折り合っているのか(あるいはいないのか)。まだ『弁神論』も読破していないので、もう少し読んでから結論を出そうと思います。