核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『蘆花日記』 第一次大戦下の平和論

 1918(大正7)年10月25日。ヨーロッパの平和はまだ訪れる前。

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 ●余曰く、白耳義(ベルギー)などの何千の女は如何だ、独逸の女は独逸の男の所行について何と思ふだらう、「万国の労働者一致せよ」ではないが、女が世界を通じて一致しないで、国々で別れて、戦争をさすやうで、何処に女が活きてるだらう、世界の女が部分的勇気に感心したりする間、戦争が何時止むものか。
 (『蘆花日記 七』 筑摩書房 291ページ)
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 徳富蘆花は感情の起伏の大きい人で、必ずしも一貫した平和主義者ではないのですが、この箇所は価値があると思いました。同時期に村井弦斎も『婦人世界』で女性による平和論を提唱していましたが、蘆花は独自に思いいたったようです。