圧倒的な情報量と熱意で語られる、漱石代表作についての対談。
なのですが、読む私の方に漱石への関心が減退してしまったせいか、著者のお二方ほどには「激読」する気になりませんでした。これはお二方の責任ではまったくなく、私が歳をとったということでしょう。もっと若い頃に出逢いたかった一冊です。
むしろ興味深かったのは、石原氏が参考資料として提供する、双六コレクションの数々。
特に二四四ページの「買い物双六」は、百貨店の断面図がそのまま双六になってます。漱石よりも横光利一の「七階の運動」を連想させます。こういう双六の話だけで別な本が一冊できそうです。
しかし、これほどの漱石本でも言及されない『二百十日』って一体。代表作じゃないのはわかりますけど。