核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

福地桜痴〔欧州文明ノ一本質〕より 西洋文明批判

 戦争にあけくれる西洋文明に対し、福地桜痴はどのような態度を表明していたか。
 ギゾーがフランスを文明の集点(原文のまま)なりとし、多くの論者がそれに同意していることに対して、フランスの度々兵乱にあけくれる歴史を指摘して。

   ※
 而して其の所謂文明とは、何を指して文明と名け、何を認めて文明の最極とする乎。凡そ欧州大陸に於て国民が泰平の澤に浴する能はざるは仏国より甚だしきは莫し。
 福地桜痴〔欧州文明ノ一本質〕『東京日日新聞』一八七七(明治一〇)年一〇月一〇、一二日 引用は筑摩書房『明治文学全集11 福地桜痴集』 一九六六 三五五ページより 原文のカタカナはひらがなに改め、傍線傍点は省略した
   ※

 国民が「泰平」を味わえない西洋文明は、果たして文明の名に値するか。桜痴は単純な西洋化論者でも復古主義者でもなく、「泰平」(平和)を最終目標とする文明のあり方を構想していました。
 「殺さなければ殺されるんだから仕方がない。一視同仁など、うかつの談」という福沢諭吉の文明観と、明らかに違うところです。