中国、清末期の武侠小説。日本語訳は平凡社『中国古典文学大系47』に収録。
だいぶ前に図書館で借りて読んだきりなので、うろおぼえとウィキペディア頼りで書いてみます。
それにしても素晴らしいタイトル。
「児女」と「英雄」は相容れないように見えるが、実はそうではないのだと序文で力説してます。むしろ児女にこそ英雄の資格があるのだと。
賊にとらわれた頼りない男性主人公の前に、さっそうと現れて賊をけちらす謎の少女、十三妹。「あたしはあたしよ」という自己紹介や、メタな発言の数々が、涼宮ハルヒを想起させます。
男性主人公といい雰囲気になりかけますが、十三妹はそれを拒絶し、別の人質女性を「あたしの妹」と呼んで強引に主人公とくっつけ、自分はひとり仇討ちの旅に去っていきます……。
『水滸伝』のような前近代文学と、近代文学の過渡的な作品。結婚を拒絶するのも、家庭に入ってしまえば英雄でも、「あたしはあたし」でもなくなってしまうと知っているからでしょう(ま、最終的にはまさにそうなるのですが)。