水に映った月が手に入るはずはないのですが。
『北海道毎日新聞』のマイクロリールを回し、スキャンして全文入手できました。
村井弦斎の未発見小説です。これで各地の弦斎研究会に顔を出すとき、ちょうどいい手土産ができました。もちろん、これで論文を書ければ申し分ありません。
現代のポリティカルコレクトに抵触する箇所があるのがたまにきずですが、面白さでは弦斎作品中でもかなり上位に入る娯楽作品です。ただ、北海道の豊平橋とか札幌とか函館という地名は出てくるのですが、風土性はあまりありませんでした。
もちろん面白いだけではなく、論じるに値する問題を秘めてもいます。
タイトル読みなんてきょうび流行んないかも知れませんが、『水の月』という題が暗示するのは、「投影」ではないかと思います。現実世界に投影された理想。