ある本を読んだおかげで、すっかり北海道づいてしまいました。これまで関心がなさすぎたせいもありますが。
で、この『雪紛々』。アイヌ女性の「悲劇」を描いた作品で、後半は別人との合作とのこと(まだ読んでません)。
内藤千珠子「「アイヌ」を象る文学」が、これと遅塚麗水『蝦夷大王』をまとめて批判しておられることは前回述べました。果たして本当に批判にしか値しない作品なのかを、二作を読み比べ、自分なりの再審請求をしてみようと企てています。
メジャーを挫きマイナーを救う、核通の悪癖が出たなと思われるかも知れませんが、そういうわけではありません。確かに私はメジャー文学(夏目漱石、北原白秋、小林秀雄、大江健三郎など)を多く批判し、相対的にマイナーな村井弦斎や木下尚江、遅塚麗水らの作品を発掘してきましたが、あまのじゃく根性からではありません。自分なりに公正であろう、世界平和に益する文学を探そうとつとめた結果です。
弦斎『水の月』や麗水『蝦夷大王』にしても、もし内藤氏のご批判があてはまるような類型的な作品であれば、いさぎよく論文化はあきらめます。
しかし、そうではない可能性に、少なくとも国会図書館までの往復旅費ぐらいは、賭けてもいいと思っています。
2024・2・29追記 遅塚麗水の「蝦夷大王」を二度も「南蛮大王」と誤記してしまいました。そういう作品もあるからややこしいのです。訂正してお詫びします。