核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

嵯峨のや主人「国民大帝」(『明治文庫』第八編 一八九四(明治二七)年)

 日清戦争開戦の年に刊行された(もしかしたら雑誌初出があるかもですが)、

 

  『国 民 大 帝』。

 

 インパクトのある題です。作者は「嵯峨のやおむろ」だったり「矢崎嵯峨のや」だったりする矢崎鎮四郎(やざきしんしろう)。坪内逍遙門下です。

 しかし国民大帝。ジャングル大帝孫権やゼロ大帝とは訳が違います。

 てっきり日清戦争を指揮する明治天皇を描いた、堂々たる同時代戦史を期待したのですが・・・・・・。

 天照大神の五世の御孫、つまり後の神武天皇を「日本国民の大帝」と呼び、高千穂から東征に出るまでを描いた、四ページの小品にすぎませんでした。

 盛大にずっこけました。まあ、嵯峨のやなりの戦争協力作品なのでしょう。