核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎『食道楽』(秋の巻)より、「第二百五十二 食育論」

 村井弦斎をご存知の方には今さらですが、まずその弦斎の「食育」論を。

 お登和嬢が兄の中川君の言を紹介するという間接的な話法ではありますが、『食道楽』の秋の巻、岩波文庫版でなら『食道楽(下)』にあります。

 

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 お登和嬢「(略)平生兄はこう申しております。今の世は頻りに体育論と智育論との争いがあるけれどもそれは程と加減によるので、智育と体育と徳育の三つは蛋白質と脂肪と澱粉のように程と加減を測って配合しなければならん。しかし先ず智育よりも体育よりも一番大切な食育の事を研究しないのは迂闊の至りだ」

 (村井弦斎『食道楽(下)』岩波文庫 二〇〇五 原著一九〇三 二〇一~二〇二頁)

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 この論の前提となる、「体育論と智育論との争い」、さくっとデジコレで検索してみると、いろいろ出てきました。

 「智育か体育か将た徳育なるか」との一節が、『盍簪』(一八九六)というむずかしい名前の雑誌の記事にありました。これが最古というわけではなく、探せばもっと出てきそうです。