核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『アエネーイス』は合わないっす

 古代ローマの詩人ウェルギリウスの代表作、『アエネーイス』。

 ウェルギリウス(ヴェルギリウスとも表記)はイタリア語読みだとヴィルジリオ。

 ダンテ『神曲』で地獄と浄罪の案内人をつとめてくれた、あのヴィルジリオ先生です。同じイタリア人(?)同士なので、ホメロスよりも親しみがあったのでしょう。

 叙事詩『アエネーイス』は、トロイ戦争を生き残った英雄アエネーアース(題名と微妙に違うのが、ラテン語のややこしいとこです)が、一族やトロイ人を率いて脱出し、カルタゴを経てイタリアに上陸、激戦の末に地元民の英雄トゥルヌスを討ち取る物語です。 アエネーアースの子孫がローマを建国し、ギリシアやカルタゴを征服する大帝国となることも、確か作中で暗示されてました。

 あらすじだけ聞くと壮大そうな物語で、十代の頃の私はわくわくしながら図書館で、『世界古典文学全集 21 ウェルギリウス・ルクレティウス』を借りて読んだのですが、期待はずれでした。口語日本語に訳されてたホメロスと違い、韻文をむりやり七五調の日本語に訳したのが良くなかったのかも知れません。同時収録されてたルクレティウスの『事物の本性について』という哲学書のほうが、よっぽど面白かったくらいです。

 ウィキペディアの同項によると、ウェルギリウスは「死の前にこの草稿の焼却を望んだが、アウグストゥスが刊行を命じたため世に出ることになった」そうです。ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスによる、きも入りの国家的プロジェクト。そんなんで傑作文学が生れるはずはないのです。戦争への批判や鋭い洞察は、『アエネーイス』には見られませんでした。