核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

植木枝盛 「無上政法論」 1880

 「猿人」「帝王」とくればこの人でしょ。明治9(1876)年に「猿人君主」を郵便報知新聞に投書して投獄された、植木枝盛の「無上政法論」(明治13年)を紹介します。序文には板垣退助原案とか書いてありますけど、『明治文学全集12』の解説によれば原案も植木らしいです。
 一言でいうと、戦争防止のために「万国協議政府」を設立しようという案です。植木はかなりくわしい日記と読書録をつけているのですが、カントの永遠平和論を読んだ形跡はなく(『経国美談』後篇は読んでました)、独自に考え出したものと思われます。16歳のとき(明治5年)には「戦は天に対して大罪あること雑へたり万国統一の会所なかるべからざること」なんて作文も書いてたりします。
 専門分野なのに、「らしい」がやけに多いじゃないか。ほんとはもっと大々的にとりあげたかったのですが、博士論文の題名を『明治の平和主義小説』にしてしまった関係上、植木の調査にあまり労力を注ぐわけにはいかなかったのです。ああ、この人が小説を書いていたら!