もう4年も前の文章なのですが、前に国会図書館で検索した時には見つからなかったので、今まで見送っていました。不明を恥じる次第です。
一方、トウェインの晩年の作品『戦争の祈り』("The War-Prayer")は「戦争の大義」の偽善性を正面から批判した反戦文学であり、戦争肯定と人道主義という「弦斎の戦争に対する矛盾した二つの思いを、トウェインは『花子』から読み取った」と、マクダウェル氏は推測しているとのことです。
この話題も十分興味深いのですが、もっとすごいのは後段。
第一次世界大戦終結後の、『婦人世界』1920年9月号に、弦斎は「火星人が見た地球」という想定の随筆を書き、地球人類の歴史は殺人の歴史に過ぎない、一国を挙げて他国人を多く殺す事を誇りにするなんて、火星人には見せられない、と主張していたのです。
こちらは原文を入手しましたので、次回に紹介します。戦争中から弦斎は小説の中で同じような主張をしていましたが(『小松嶋』)、エッセイで、しかも『小松嶋』よりもはるかに具体的に反戦を訴えていたのは驚きでした。文学研究者やっててよかったと思う瞬間です。
なお、『花子』・『戦争の祈り』・マクダウェル論文は、私はいずれも未読でした。世界平和のために、英語苦手も克服せねば。