今回の反論者は本名不明の「メルセンヌ周辺の『哲学者や数学者たち』」だそうです。犬だって寝ぼけて吠えることもある(菅原家のシーズーもそうでした)という例から始まって、犬のほうではあなた(デカルト)を「我思う」ような存在だとは認めていないのではないか、といった議論に持っていきます。
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かつて、獣どもに理性を付与し、今も認めている多くの人びとがいるのです。また、感覚も、生命も、霊魂もなしに、ただ機械仕掛けの助けをかりるだけで、それらの働きを十分に説明しうるとは、私たちはとても信ずるどころではなく、かえって、そのようなことは、不可能でもあり、笑うべきことでもあると、どんなものをかけてでも争ってゆきたいと思うのです。
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ちょっとだけ誤解があるようでして、第六答弁にもあるように、デカルトは動物にも感覚や「物体的な霊魂」があることは否定していません。
とはいえ、これだけ多くの反論を見ると、デカルトの動物機械論は17世紀ヨーロッパでさえ少数派だったのではないかと、疑いたくなります。