核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

シャンタル・ムフ『左派ポピュリズムのために』(明石書店 二〇一九)その3

 『現代思想』誌の増刊号にも項目が立てられてまして、日本ではれいわ新選組との関連で語られることも多い左派ポピュリズムですが、私はどうも乗り気になれません。
 ムフの『左派ポピュリズムのために』も、三行で要約しますと、

 これまでは新自由主義(イギリスではサッチャリズム)の一人勝ちだった。
 しかし昨今では、右派ポピュリズムの台頭で状況が変わりつつある。
 今こそわれわれ左派もポピュリズムを立ち上げよう!

 といった感じでして(原文そのままではありません)、「われわれ左派」に属さない私としてはどうも他人事に見えてしまうわけです。一方、ムフのもう一つの主題である闘技民主主義は、後景に退いています。
 私がムフに望んでいるのは、「われわれ」の枠を超えた、敵に対するふるまいの倫理です。