核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

浪々生『女浪人の鳴物』(『歌舞伎』第百三十三号)

 文学にも、挿絵とか装丁といった文字以外の要素はあるわけですが。

 歌舞伎となるとさらに複雑で、残されている筋書ではわからない、役者の演技、化粧、衣装、舞台装置などの多彩な要素があるわけです。今回は鳴物(BGM)の資料を。

 

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 六月十日に歌舞伎座を見物した。例に依り一番目「女浪人」の鳴物を、好劇家諸君に紹介しよう。序幕。「岩倉村閑居の場」。幕明きは「時雨西行」の「一河の流」の合方で、跡は舞台で我蔵の琵琶(平家か薩摩か大いに曖昧なる)が有る。此の間を合方なしで。坂本の出から幕明きの合方になり。岩倉が坂本へ杯を差すと此の合方の中へ薄く神楽を聞かせ。道具替りも同じ。

 (七九頁)

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 私には何のことやらですが、歌舞伎と邦楽に詳しい方なら脳内で音を再現できるのではないでしょうか。女浪人お信が近藤勇を説得する場面の鳴物は「四季の花里」の「取るや矢立」だそうです。