核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

風呂敷の広げ方とたたみ方

 ほんと、話がころころ変わってすみません。本物の風呂敷の作法について知りたかった方にもお詫びします。

 娯楽物語作法における、読者への期待の持たせ方と満たし方の話をしたいのです。

 私は昔作家志望だったことがあって、今でもたまにTRPGのシナリオを書いたり、さらにたまに短編小説を書いたりして創作意欲を満たしているわけですが、そうした体験から、素人なりに得られたこつのようなものについて書きます。

 読者(TRPGの場合はプレイヤーさんですが、ここでは読者に統一します)に最後までページをめくってもらうには、まず期待を持ってもらう必要があると思うのです。

 「まだ題名(あるいは一行目、一ページ目)だけだけど、面白くなりそうだ」みたいな、わくわく感。

 本当に題名や一行目や一ページ目から面白くするのはプロじゃないと無理なので、素人としてはあくまでも「面白くなりそうだ」を目標に。次の行やページを読んでいってもらえるように。ここまでが「風呂敷の広げ方」。

 しかし、「面白くなりそうだ」な思わせぶりだけが続くと、読者は期待はずれを通り越して怒りを覚え、「二度とこいつのは読まない」となりかねないので。要所要所で読者の期待に応える、新鮮で面白い「中身」を入れる必要があるわけです。その「中身」に相当するアイディアを考えるのが一番大変だと思うのですが、今回は省略。今回はあくまでも風呂敷、つまり物語の形式についての作法なので。

 風呂敷を広げて読者の期待を盛り上げ、中身で期待に応えたら、最後は風呂敷のたたみ方。単発短編の場合は不要なこともあり、「変な実験やったら宇宙が消滅しました」でもいいわけですが、連続物やTRPGシナリオになると、風呂敷のたたみ方でも期待をつなぐ必要があるわけです。次に広げる時にそなえて、回収できる程度に伏線をばらまいておいて、読者に次も読んでもらえるようにするのが理想です。

 ……もう少し精緻化すれば、「期待の風呂敷」文学理論ができそうですね。「期待の地平」なんてもう古い?