核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

森鴎外『灰燼』におけるジェンダーの問題

私は明治反戦文学の研究で学位を得た人間で、ジェンダーとかセクシュアリティの問題にはうとかったのですが、そうも言っていられなくなりました。森鴎外の全集でしか読めない未完の小説『灰燼』にも、トランスジェンダーの人物が登場するのです。 以下、国会…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』(早川書房 二〇〇八) その1

私の二〇〇〇年代はいろいろと悲惨だったこともあり、いわゆるゼロ年代批評にはまったく無知であることをあらかじめお断りしておきます。 この本は、岡和田晃『反ヘイト・反自由主義の批評精神 いま読まれるべき〈文学〉とは何か』(寿郎社 二〇一八)の一八…

原抱一庵『闇中政治家』における物語批判・差別批判とその限界

海賊シルバーが義足だったり、海賊フック船長が義手だったりという風に、物語というものはしばしば、身体の欠損を、安易に反社会性の記号として使いがちなものです(いや『宝島』や『ピーター・パン』は名作ですけど、上記の手法はほめられません)。 そうし…

おいしい文学の料理法

文学作品で、読者がおそらく知らないであろう料理をおいしそうに表現するには、いかなる技法があるでしょうか。 村井弦斎『食道楽』で目につくのは、シュークリームを「白い餡が出るの」と表現したり、トマトを「赤茄子」と呼ぶように、洋食をすでに知られて…

王崗・劉可蒙 深圳大学「『食道楽続編 春の巻』にみる明治期の日本語の文字・語彙の表現特徴」(日本学刊 第 26 号 2023 年)

村井弦斎『食道楽』への言及は多いのですが、『食道楽続編』はほとんど注目されていないようです。そんな中、ようやく続編を扱ったご論文が。二〇二三年です。 文学作品としての分析ではなく、明治時代における表記のゆれ、たとえば ※ 「煮汁」(だし) と「…

PS版『テイルズ オブ エターニア』、ようやくクリアしました。

だいぶ昔に進めなくなり、放置していたCRPGですが、ついに完結しました。 同じ形のおわんを向かい合わせたように、ふたつの小世界が上下に向かい合う、対面世界。その一方のセレスティアで危機が発生し、もう一方のインフェリアに使者が送られます。かく…

『闇中政治家』から見るジェンダーの問題

私はこれまで、ジェンダーとかLGBTの問題に深入りするのを避けてきました。 人間(男女問わず)を戦争や差別に駆り立てる、敵対関係の問題についての一般理論を組み立てること、それを優先してきたからです。 しかし、その一環として、原抱一庵『闇中政治家…

年齢二十八歳未満の美少年!?

原抱一庵『闇中政治家』の一節。 「齢尚ほ二八に満たず婦人にしても見まほしき婀娜(あだ)たる一美少年」 美少年なのに二十八歳未満というのは不自然だと考えたのか、あるご論文ではここを 「齢尚ほ一八に満たず」(以下略) と修正して引用していますが、…

原抱一庵『闇中政治家』、再読計画

今さら『ゴールデンカムイ』ブームに便乗しようというわけではありません。 今、私の中で北海道が熱いのです。 そういうわけで、一八九〇~九一(明治二三~二四)に書かれた、北海道を舞台にした政治小説『闇中政治家』をもう一度読み返すべく、『明治文学…

七月三〇日は弦斎忌

村井弦斎の没年は一九二七年なので、百年にはまだ間がありますが。 各地の弦斎研究会の間で、何か動きがあるかもです。 先月はお金を使いすぎたので(ちょい後悔してます)、今月は倹約して、交通費ぐらいは貯めておこうと思います。

『POPCOM』(小学館 1985/2)「特集・海の男の艦隊ゲーム!月月火水木金金」

38年前のマイコン雑誌。ヤフオクで検索したらあったのですが、高いので今回は見送りました。少しでも研究費をためておかねば。 この月刊ポプコムも、私の人間形成に大きな影響を与えた雑誌です。 特集は当時いっぱい出ていた、太平洋戦争が題材のウォーゲ…

国文学研究資料館

国会図書館のデジタルコレクションと並び、こちらのサイトも最近よく利用しています。 『闇中政治家』もこちらの『近代書誌・近代画像データベース』にありました。まあ、『明治文学全集』にも収録されているので、いずれ活字媒体で読み直すつもりではありま…

ドイツ式体操図書館

無性に欲しい本があると見る、巨大図書館の夢。 階段が狭くて急なぐらいはまだしも、はしご、ジャンプしないと届かない足場、綱のぼり綱降りしないと目的地にたどりつけない、非常に健康的な図書館でした。 そしてたどりついた、上司小剣(かみつかさしょう…

今さら思い当たった

原抱一庵の『闇中政治家』(一八九〇(明治二三))。 あの読後感、どこかで味わったことがあると思ったら。 テレビ放映版『新世紀エヴァンゲリオン』の終わり方ですよ。あのさんざん思わせぶりな要素や秘密めかした雰囲気をただよわせておいて、結局何一つ…

村井弦斎『水の月』第一回(『北海道毎日新聞』一八八九(明治二二)年一一月一日)

弦斎居士『水の月』の、冒頭のとこだけ引用します。舞台も北海道、札幌、豊平川。 ※ 豊平橋の上は山なす計(ばか)りの人、其人々の眼は皆豊平川の水上に注げり、豊平川の水上に立現れしは一箇の美人 年の頃は二十二三にやあらん、 (以下、美人の描写が続く…

庚寅新誌、ひとまず見送ります。

明治新聞雑誌文庫でも、業者を介した複写申し込みはできるのですが。 基本料金3000円、後は1枚あたり100円以上と、ざっと計算すると、『日本の古本屋』さんで現物を買うのと大差ない金額になることが判明しました。 手が出ないので、しばらく見送り…

カメバズーカ

甲羅にバズーカを背負い、体内に原子爆弾を内蔵した、核兵器および通常兵器の権化のようなデストロン怪人(『仮面ライダーV3』)。当ブログがおおっぴらにほめるわけにはいかない存在ですが。妙に気になります。 カメバズーカのような決断力を、今の私が欠い…

明治新聞雑誌文庫、複写申し込みが出来るようです

当然お金はかかるはずなので、検討してみます。

『庚寅新誌』81、82、83、84号

2024・2・14追記 題名からして間違ってました。「81号」が抜けていたので、訂正してお詫びします。 『庚寅新誌』は「こういんしんし」と読みます。 「かのえ」「とら」「しん」「し」と打ち込むと変換できます。 明治時代の時刻表雑誌らしいのです…