核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

ラリー・ガラ他編著『反戦のともしび―第二次世界大戦に抵抗したアメリカの若者たち』(明石書店 2010)

  副題の通り、日本やドイツやイタリアとの戦争に、というよりもすべての戦争に反対し迫害や投獄に耐えぬいた方々の、貴重な体験談です。
 たとえば編著者の一人、ラリー・ガラ氏(1922年生まれ)はこう語っています。
 
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 ロンドン、ドレスデンヒロシマへの爆撃や爆弾投下は我々を恐れさせました。ナチ支配体制は最悪でしたが、それでもドイツや日本の一般人を殺すことが答えだとは思いませんでした。(略)
 我々の証言は徴兵制度と戦争そのものに対するものであり、軍役についた人々に反対するものではありません。我々がしたことは、闇の中にろうそくをいくつか灯すことであり、世界が我に返ったときに非暴力の理想が役立つように活かし続けておくことだったといえるでしょう。
 (165ページ)
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 アメリカには良心的兵役拒否という伝統的な制度があり、徴兵忌避が重罪であった日本より「少しは」恵まれていたかもしれません。
 しかし、自由の国と称するアメリカであっても、徴兵を拒否する人は「臆病者」「非愛国者」「ナチ」として刑務所側から扱われ、一般の犯罪者よりも悲惨な扱いを受けた例もあります(70~71ページ)。
 上記の証言者デリンジャー氏は1930年代からの反ナチス論者であり、アメリカ政府や大企業のナチス援助を批判していたにも関わらずです。
 絶対平和主義者であることは、安全な道ではない。そう考えさせられる一冊です。