学問研究の場である大学に、暴力の荒らしが吹き荒れた1968年。
そんな時代にも、まじめな学術論文を書く人は存在したのです。以前にも紹介した、小林秀雄の戦時中初出と戦後全集版の改作を実証的に取り上げた鎧坂昭江氏。
鎧坂昭江 「『無常といふ事』における改作意識」(『学大国文』一二号、昭和四三年一二月発行)
「注(6) ただし(十五)の中の三箇所の異同だけは(引用者注、考えに変化が生じたと思われる修正。以下一部略)後日改めてふれることにした」
で、「後日改めてふれることにした」論文をCiniiその他の学術サイトで探してみたのですが存在しませんでした。
確認可能な鎧坂氏の論文はこれ一本のみであり、研究職についた形跡もないようです。
鎧坂氏にはどうかしあわせに暮らしていてほしいものです。ご研究とリスクは私が引き継ぎます。
(2014・9・1 追記 鎧坂先生についてのコメントが2件寄せられました。人望のある先生だったようです)