核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

「覚後庵主」は村井弦斎か?

 先日展示されていた黒岩比佐子さんの書簡の中に、「弦斎居士」がデビューする以前に、「覚後庵主」なる人物の小説が『郵便報知新聞』に掲載されていたこと、「覚悟」という言葉を弦斎が愛好していたことから、もしかしたら弦斎の別名ではないでしょうか?という話題がありました。
 さっそく郵便報知新聞(柏書房復刻版)の明治20年代初頭をあたったところ、1888(明治21)年の1月に、「覚後庵主」の「夢中夢」という小説が掲載されていました。創作ではなく翻訳らしいのですが、原著者名は書いてありませんでした。弦斎の文章に特徴的な「和郎(おまへ)」や「アハゝゝゝ」はありませんでしたが、今のところ断定はできません。
 この「夢中夢」を含むシリーズ「報知叢談」には先行研究論文がありますので、いずれ紹介させていただきます。続報をお待ちください。