核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

文学は終わらず、小説は死せず

 2004年頃、『近代文学の終り』とか、『小説の終焉』とかいう批評本が出て、当時の私は気が重くなったものです。今の私はそれほど素直ではないので、文学や小説が終わったなどとはまったく思っていません。

 『小説家になろう』というサイトの隆盛でも解るように、小説への需要は依然としてあるのです。「なろう系」とか「なろうじゃん」という揶揄に見られるように、質が追いついていない感はありますが、いつの時代でも新作小説の大半は別の小説の模倣なのです。小説を模倣する小説の山の中から、一作でも小説を模倣しない小説が出てくれば上出来です。

 「文学極衰」が論じられた一八九〇年は、明治文学研究者の私にとっては最高のあたり年でした。文学に志す方々は気を大きく持ってほしいものです。食べていけるという保証までは出来ませんが……。