核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

武者小路実篤『ある青年の夢』

SDと安心供与

SDとは「安全保障のジレンマ」の略語。 安心供与とは、安全保障のジレンマ状態にある相手に安心を与えること。 どちらも、安全保障のジレンマについて論文を書く前に知っておくべき語でした。

武者小路実篤記念館、見てきました。

新宿からそう遠くない京王線仙川駅の近くだというのに、清冽なたたずまいの公園の中。実篤が晩年を過ごしたという旧宅と記念館を見てきました。 意外にも盛況でした。ただし男性客は私一人。資料も充実していましたが、お目当ての『ある青年の夢』関係は今回…

楊琇媚「武者小路実篤における戦争認識の本質―『ある青年の夢』と『大東亜戦争私感』を中心に」(『第28回国際日本文学研究集会会議録』2005年3月)

論文ではなく学会発表ですが、ネット上でレジュメと質疑を読むことが出来ました。 反戦劇『ある青年の夢』と、戦争協力の書『大東亜戦争私感』の戦争認識は、実はそれほど変化していないのではないか、という問題提起です。 『ある青年の夢』については、主…

調布市武者小路実篤記念館にて

「文豪とアルケミスト」コラボイベントが開催されるそうです。行ってみるかな。 ※ ゲーム「文豪とアルケミスト」とコラボ企画を実施します 「文豪とアルケミスト」は、DMM GAMESから配信されている文豪転生シミュレーションゲームです。 ゲームでは、“どこか…

宿題。

武者小路実篤からはいったん離れるわけですが、彼がなぜ反戦論から戦争賛美に転じたのかは、研究者として考え続け、自分なりの答えを出さなければならないと思います。賀川豊彦についても。

『東京新聞』2017年7月11日夕刊に掲載されました。

「武者小路実篤の戯曲「ある青年の夢」」と題した小文が掲載されました。 報告が遅れましてすみません。

7月11日の東京新聞夕刊に

「武者小路実篤の戯曲「ある青年の夢」」と題した小文を掲載させていただくことになりました。 『日本文学』2017年2月号に掲載した論文よりも、現代の状況をより意識したものになっております。よろしくお願いします。

お詫びと訂正

私の論文「武者小路実篤『ある青年の夢』論」(『日本文学』2017年2月号)34ページに、 国際連盟(一九一八) とありますのは、 国際連盟(一九二〇) の誤りでした。訂正してお詫びします。

掲載されました。

『日本文学』2017年2月号に、「武者小路実篤『ある青年の夢』論―安全保障のジレンマとその克服」が掲載されました。

掲載予定

『日本文学』2017年2月号に、「武者小路実篤『ある青年の夢』論―安全保障のジレンマとその克服」を掲載していただく予定になりました。

どうにか三十五枚。

形にはなりました。投稿するかは別として。

書庫増設

武者小路実篤『ある青年の夢』関係が増えそうなので、同作品および「安全保障のジレンマ」関係をここに移しました。

武者小路公秀は、『ある青年の夢』を読んだか?

武者小路実篤の甥にあたる国際政治学者、武者小路公秀。彼も安全保障のジレンマについて多くを語っています。 もし『ある青年の夢』を読んでの影響だったら面白いかな…と思ったのですが、残念ながらそれらしき証言は見当たりませんでした。

ラセット『安全保障のジレンマ』より 第一次大戦

※ 第一次大戦の勃発に先立つ直前の時期を対象にとりあげた主要な研究によると、それぞれの国の意思決定者たちは敵対的な行動の脅威を感じとり、その知覚が敵対的な国々にたいして敵対的な行動をとることにつながったという事実が明らかにされている。いい方…

『国際政治事典』より 「安全保障のジレンマ」

※ (前略)このように、自国の「安全」を本来は確保するための軍事力が、結果的に自国の「脅威」認識を拡大するというジレンマを生むことになる。ピストルを持つ敵同士が双方ともに脅威を感じる理由は、相手ではなく、自分がピストルを持っていることに起因…

安全困境

「安全保障のジレンマ」の中国語訳をgoogle翻訳してみたら、「安全困境」と出ました。四字熟語として定着できないものでしょうか。どうも「安全保障のジレンマ」と毎回書くのはこなれない気がしまして。

黒島伝治「反戦文学論」中の『ある青年の夢』評

青空文庫様より引用。 ※ 武者小路実篤の「或る青年の夢」は、欧洲大戦当時に出た。これは、人道主義の戦争反対である。 この場合に於ても、死の恐怖、人間が、人間らしい生活が出来ない悲惨を強調している。ところがこゝでは個人よりも人類が主として問題に…

『ある青年の夢』第三幕執筆中の武者小路実篤

安全保障のジレンマ(?)に落ち込んだ武者小路実篤の苦悩。下級生との喧嘩がエスカレートして、ついに相手が刃物やピストルを持ちだした場面を書いている時の話です。 ※ 或る青年の夢は一場切りかけなかつた。しかもそれは第三幕の一場だ。第三幕は之でおは…

ジョセフ・S・ナイ・ジュニア著 田中明彦/村田晃嗣訳 『国際紛争―理論と歴史〔原書第4版〕』より 国際的制度

安全保障のジレンマを軽減するにはどうしたらいいか。その1、国際的制度。 ※ なぜ国際的制度が重要なのか。なぜなら、それらは期待を形成する枠組みと情報を軽減するからである。国際的制度のおかげで紛争になることはないと、人々は信じるようになる。国際…

ジョセフ・S・ナイ・ジュニア『国際紛争―理論と歴史〔原書第4版〕』における安全保障のジレンマの定義

少し前にも読んだ気がしますが、今回は安全保障のジレンマがらみを中心に読み直してみます。 ※ 安全保障のディレンマこそ、国際政治の本質―無政府的すなわち上位の政府が存在しないこと―にかかわる事態にほかならない。つまり、無政府状態の下では、自らの安…

ラセット『安全保障のジレンマ―核抑止・軍拡競争・軍備管理をめぐって』(予定)

まんま、『安全保障のジレンマ』という題の本があるそうです。これも要チェック。 (2016・5・17追記 チェックしました。昨日の記事に一部引用)

武者小路実篤『ある青年の夢』(予定)

1916(大正5)年。つまり今からちょうど百年前。 そして第一次世界大戦のただ中に書かれた反戦劇。 今さら武者小路なんて、と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが(私も熟読する前はそうでした)、なかなかどうしてです。 何かが書けそうな作品で…

安全保障のジレンマ

A国の軍備を恐れるあまりにB国が軍備を増強し、それがまたA国にとっての脅威となって今度はA国が軍備を増強し…という、たぶん文明発祥とともにある悲惨な現象。 平和学の本にはたいてい出てきますが、当事者の立場でそれを解消するうまい方法は、今のと…

司法省調査課『報告書集 二』「反戦運動」(1930)

大正期の平和主義文学は、官憲の側からはどう見られていたのか。気になって検索してみました。 田山花袋「一兵卒」、与謝野晶子「君死にたまふことなかれ」、武者小路実篤『或る青年の夢』などの既成文壇による反戦文学への言及はごくわずかで、プロレタリア…

山室信一「もう一つの世界性――第一次大戦と非戦思想の連鎖」

『思想』2014年第10号巻頭言。同誌ホームページで読むことができました。 http://www.iwanami.co.jp/shiso/ 武者小路実篤の『或る青年の夢』をはじめとした、第一次大戦下の反戦論・軍備廃絶論の広がりを概説し、あわせて今日の、「国際連盟が否定した…

武者小路実篤と村井弦斎・木下尚江

武者小路実篤の自伝より。 幼少期には弦斎の『小猫』『飛乗太郎』を愛読したという話も出てきますが、平和主義方面ではこちらも。 ※ 木下尚江の「火の柱」は兄も愛読したが、兄からすすめられて僕も読んで感動した。「良人の自白」はそれについで感心したが…

武者小路実篤『大東亜戦争私感』(1942(昭和17)年)

どれも似たり寄ったりの、読む前から想像した通りの内容(むしろ無内容)なので、引用は最小限に留めます。さらしものにするのが目的ではないので。 刊行の日付は5月20日。ミッドウェイ海戦の少し前です。 ※ 大東亜戦争が始まつて以来、我等は日本を見な…

第一次世界大戦期の武者小路実篤

率直すぎ読みやすすぎる文章が災いして、武者小路実篤という人はあまり真剣に読まれていないのが現状です。しかし第一次大戦期に関する限り、大作反戦劇「ある青年の夢」をはじめとする多量の反戦論を書いていることもあり、今回まとめて読むことにしました…