核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

大江健三郎の福島原発推進論

大江健三郎 『M/Tと森のフシギの物語』

大江健三郎論はいったん打ち切ると宣言したのですが、小林秀雄論について調べているうちにまた問題が出てきて、けっきょく新潮社『大江健三郎小説』全10巻を制覇するはめになってしまいました。 で、1巻から順に読まなかったせいもあって、最後に出会った…

大江健三郎 『同時代ゲーム』についての小林秀雄の評価

大江健三郎 『同時代ゲーム』(新潮社 1979)について、「日本を代表する批評家と呼ばれる」小林秀雄は以下のような評価をくだしています。 「(略)小林秀雄氏によって直接声をかけられたのだ。決してまったく好意的でなかったとも思わないが、―あのよ…

大江健三郎論まとめ―私は平和を「祈ら」ない

前回前々回に大江健三郎の思想をメシアニズムと呼びましたが、むしろデリダのいう「メシア的なもの」のほうがふさわしいかもしれません。歴代ギー兄さんや師匠は、オウム真理教の教祖のように自らキリストと称しているのではなく、自分は前キリストの一人、…

もうちょっとで終わります

『日常生活の冒険』はずっと前に持ってたんですけどね。 『原爆文学研究』9号所収の論文で、同作品に被爆者問題が扱われていることを今さら知らされ、とっとけばよかったと後悔しております。昔から、本を手放すと後で必ず後悔する性格でして。 大江健三郎…

『宙返り』読了!

お・い・らはブ~ロガ~↓怠惰なブ~ロガ~↑大江~で書いた~ら~荒~らしを呼~ぶぜ~!いえい! というわけで読み終わりましたが、…きつかった。 ひたすらカルト新興宗教の内輪もめに終始する話でして、誰一人感情移入できる登場人物がいないのです。 錯時…

『宙返り』ただいま再読中

大江健三郎の良いところも悪いところも見逃すまいとじっくり読んでいるため、いましばらく時間がかかりそうです。 おかげで、昨夜は非常に憂鬱な夢を見ました。 そもそもは、ニューヨーカー紙での大江健三郎のなんの具体的な解決策も示さない原発批判に、「…

大江健三郎ファンクラブサイト

http://www.ops.dti.ne.jp/~kunio-i/personal/oe/oe.html リンクフリーとありましたので、無断で遠慮なくご紹介させていただきます。 このブログの存在を知らせた上でリンクをお願いするほど、私も厚顔無恥ではないのです。炎上はそれほど恐れていないのです…

大江健三郎 「懐かしい年への手紙」

いまだに、谷間と「在」とテン窪と森の位置関係がつかめないアンタルキダスです。 フォークナーの「アブサロム!アブサロム!」みたいに、作者みずから描いた地図をのせるわけにはいかないんでしょうか。右回りとか左回りとか、文章で書かれてもわけわからん…

大江健三郎 「治療塔惑星」

5月12日の記事で「治療塔」を紹介した時に、恒星間移民宇宙船の動力についてふれてないのは無責任だ、と書きましたが、訂正してお詫びします。書いてありました。 「スターシップ公社がロケット打ち上げに向けて反対の態度を崩さず、最終段階の燃料積み込…

大江健三郎 『治療塔』(1990)

想像力想像力言ってるわりに、いつも四国の森と親戚一同のことしか書かない大江健三郎。 …そう思ってた時期が、私にもありました。 『治療塔』が扱うのは、局地的核戦争と原発事故多発で荒廃し、政治・宗教・科学のエリートたちが宇宙へ「大出発」していった…

「燃えあがる緑の木」三部作、読み終わりました

いくら大江嫌いでも、これだけ長い小説(『大江健三郎小説 10』一冊にまとめて収録されてます)を一気に読み終えると、それなりに感慨深いものがあります。別にRejoice!とか叫ぼうとは思いませんが、読んでる間は語り手サッチャンにどっぷりと感情移入して…

大江健三郎 「燃えあがる緑の木 『救い主』が殴られるまで」(1993)

こんな時間ですが、大江健三郎の「燃えあがる緑の木 『救い主』が殴られるまで」を読み終わりました。 昼間のうちに読め?電気代のムダ?ごもっともですが、つい夜中に目が覚めてしまいまして。 しかし、京都の老舗料亭かなんかのように(そんなとこ、実際に…

大江健三郎 「洪水はわが魂に及び」の大地震観

大江健三郎の「洪水はわが魂に及び」(新潮社 純文学書下ろし特別作品 1973)を紹介します。 この時期になんて不謹慎なタイトル、と思われるかも知れませんが、中身はもっと不謹慎です。 「おれたちが大地震の東京のありとある場所で自動車をとめるのは…

大江健三郎の福島第一原発推進論2

1968年7月30日(福島第一原発建設中)の、大江健三郎の発言。 「核エネルギーを開発することにぼくは不賛成ではありません。わが国でもじつは核エネルギーは現に開発されています。日本人が核アレルギーで萎縮している、と主張する連中は意識してその…

大江健三郎の福島第一原発推進論

あらためて、1968年5月当時(福島第一原発建設中)の大江健三郎の発言を引用します。 「現に東海村の原子力発電所からの電流はいま市民の生活の場所に流れてきています。それはたしかに新しいエネルギー源を発見したことの結果にちがいない。それは人間…

大江健三郎 『核時代の想像力』 新潮社 2007

「そして翌年(引用者注 1955年)、ヘルシンキでもサルトルは演説をしましたが、それは核兵器の禁止ということは、全面的な軍縮への展望、核兵器のみならず、あらゆる意味での兵器の軍縮という展望にたって論じなければならない、という考えかたを示すも…

ニューヨーカー紙 大江健三郎 "HISTORY REPEATS"

ウィキペディアが出典というのも問題なので、ニューヨーカー紙3月28日のサイトを引用します。 http://www.newyorker.com/talk/2011/03/28/110328ta_talk_oe To repeat the error by exhibiting, through the construction of nuclear reactors, the same …

大江健三郎の発言をめぐって

「東日本大震災原発事故と核兵器との結びつけ 2011年の東日本大震災の福島第一原子力発電所事故に際して米誌「ニューヨーカー」に対して「歴史は繰り返す」と題された寄稿を投稿した。同文において「原発建設は人命軽視の姿勢を示すもので、広島の原爆犠牲者…