核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ROYALネタだけどLOYALではなく

筒井康隆氏に「ヒノマル酒場」という作品があります。 一九七六(昭和五一)年七月『別冊問題小説』初出と、小谷野敦氏のブログ中の、『筒井康隆作品書誌』にありました。御恩に感謝します。もちろん私は初出は未読ですが、文庫版をなくしてしまったこともあ…

筒井康隆氏の、日本芸術院受賞式での天皇との対話

ANNnewsCHの動画より。なお以下のやりとりはアナウンサーが読み上げたもので、両氏の肉声ではありませんでした。 天皇「SF小説を書いたきっかけは何だったのですか」 筒井氏「アメリカのSF作品に心を打たれました」 ・・・・・・間違ってはいないんでしょうけ…

一日天皇

という企画が、テレビ局を題材とした筒井康隆氏の長編SF第一作『48億の妄想』(一九六五(昭和四〇)年)にあったと記憶しています。国歌「君が代」とは対極にある(「君が代は日が暮れるまで」といったところでしょうか)、天皇を相対化する不敬な思考…

戦争の止め方といっても

飛んでくるミサイルを敵基地にはね返すとか、そういうオーバーテクノロジーな真似は無理です。ミサイルが飛んでくる確率を極小にしようという話です。 「だったら、先制して敵基地をたたく、岸田自民党政権の防衛戦略のほうがすぐれているんじゃないか」とい…

公正世界仮説を超えた倫理を

公正世界仮説とは、 「人間の行いに対して公正な結果が返ってくるものである、と考える認知バイアス、もしくは思い込みである」 とウィキペディアにありました。善人には良い報いが、悪人には悪い報いが、返ってくるという世界観で、古くは各種神話や「花咲…

断続的ぬきうち絶対平和主義

今私は、ばくぜんと「無抵抗主義ではなく、報復主義でもなく、ましてや先制攻撃主義でもない」平和を実現する方法について考えています。 その代案めいたものはあるのですが、今すぐ提示できる形はとっていません。それに「代案を出せる人がいたら、いんちき…

私もまったくのばかではなかったようです

戦争や差別を止める方法は何か。 「報復主義でもなく、無抵抗主義でもなく」とばかのように心の中で繰り返しているうちに、うすぼんやりと第三の道が見えてきた気がします。去年書いてボツになった論文よりも、一歩進んだ答えが。 まだ未成熟な考えにすぎな…

渡部直己『不敬文学論序説』(太田出版 一九九九)その1

『日本近代文学と〈差別〉』の著者による、天皇をめぐる文学への考察。 帯には、 「〈天皇小説〉こそは最後の文学である」 とあります。今扱っている伊藤野枝の作品には天皇は登場しませんが、いずれ『戦争の止め方』に再挑戦する時には避けて通れないテーマ…

岡和田晃(おかわだ・あきら)氏のこと

必要あって『現代詩手帖』(二〇二〇年一一月号)のバックナンバーを取り寄せたのですが、特集記事に岡和田晃氏の記事がありました。創作・評論・編集・翻訳と多角的に現代文学に取り組んでおられる氏のこと、珍しいわけではありませんが、私にとってはうれ…

そういえば

エルフとか魔法使いが出てくる異世界ファンタジーものの元祖、『指輪物語』(映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作)も、第二次世界大戦のなりゆきを元に政治的な意図をもって書かれたんじゃないかという批評があったようです。今は持ってないのですが、…

たとえば

「俺らのふみおが異世界を救う」という題のライトノベルが、二〇二三(令和五)年一月に発表されたとしましょう。騎士田踏男という、名前の通り騎士道精神を踏み行う男が異世界に転生し、反撃能力重視と先制攻撃で敵ダンジョンをたたく戦略で魔王チープンを…

森鴎外『舞姫』の中の「伯」「林」

ふと『舞姫』中の天方伯、つまり時の総理大臣山県有朋の描かれ方が気になって、青空文庫で読み返したのですが。 「伯」で検索すると、「伯林」つまりベルリンもヒットして。 天方「伯」への森「林」太郎の忠誠心を示すために漢字表記にしたのかとも思ったの…

大杉栄「新秩序の創造―評論の評論」(「労働運動(一次) 六号」勞働運動社    1920(大正9)年6月1日納本発行)

伊藤野枝、神近市子とくれば、大杉栄とその思想にもふれないわけにはいきません。 大杉晩年の、その無政府主義思想を表明した文章を青空文庫で見つけましたので、コピペします。 ※ 何でも音頭取りの音頭につれて、みんなが踊ってさえいれば、それで満足なん…

福地桜痴『侠客春雨傘』(一八九四(明治二七)年)

村井弦斎にしろ福地桜痴にしろ、なにぶん百年以上前の作家なので、百年以上後の読者から見れば遅れた点や欠点は多々あります。とはいえ、その欠点をまのあたりにするのは、正直言って愉快ではありません。 たとえば、福地のヒット作であり、歌舞伎にもなった…

ウイルスのように感染し増殖するのは

差別者側の差別意識なのですが、なぜか「世間」はそれを被害者側に見いだしがちなのものです。 差別者は差別し返されるべきだ、なんてことは言いません(それは「火つけ彦七」への道です)。しかし、カメラを向けて分析されるべきは、被害者ではなく差別者の…

村井弦斎閲 長野楽水「夜の風」(未読 読む予定)

これも差別問題を扱った作品らしいのですが。 作者「長野楽水」が正体不明で、どうも村井弦斎の別号、つまり「夜の風」の作者は弦斎なんじゃないかという先行研究が出ています。 確か若き日の弦斎が「楽水」という署名を使っていたという話は読んだことがあ…

強盗法印とヨブ―公正世界仮説と被害者非難について―

『徒然草』の四十六段(堀池の僧正の次の段)に、強盗法印という僧が出てきます。 本人が強盗を働いたのではなく、たびたび強盗に入られたのでこう呼ばれたとのこと。強盗に入られるわ変なあだ名をつけられるわでふんだりけったりです。被害者非難というべき…

『徒然草』四十五段にみる、差別者の側の心理

藤原氏の血をひく良覚僧正。僧坊に榎の木があったので、人に「榎の木の僧正」といわれ、怒って切ったら「切杭の僧正」といわれ、いよいよ腹を立てて切り株を掘り捨てたら、その跡に池が出来たために、「堀池の僧正」といわれるようになった、という話。 作者…

幸徳秋水の小説「おこそ頭巾」(一八九四 未読)

近代デジタルコレクションでも読めないので、北川鉄夫『部落問題をとりあげた百の小説』より、孫引きの形で紹介します。 署名は「いろは庵」で、『自由新聞』一八九四(明治二七)年十一月十八日から十二月七日まで連載。現在では『幸徳秋水全集』第一巻に収…

今年も初詣行かず

願いたいことはいろいろありますが、祈ってかなうものでもないと思うので。

本日はお休みします

正月休みということで。

神近市子「アイデアリストの死」

国会図書館のデジタルコレクションで、「解放群書25」(解放社 昭和三)という本に収録されていたこの作品が読めました。初出ではありませんが、それは後で探すとして。 差別廃絶の理想を抱く泉という医師が、被差別部落の女性と結婚するものの、自身が患…

北川鉄夫『部落問題をとりあげた百の小説』(部落問題研究所 一九八五)

今年の初読み。「百の小説」とあるとおり、情報量の多い本です。 まずは「火つけ彦七」関係。 ※ 全国水平社の機関誌『水平』は第二号で廃刊になったが、第一号(大正一一年七月一三日刊)に伊藤野枝「火つけ彦七」、 (二〇三頁) この作品は作者が『水平』…

新年の提言 岸田政権の支持者こそ、伊藤野枝「火つけ彦七」を熟読すべき

あけましておめでとうございます。 例年なら初夢のことでも書くところですが、今年はいわゆる夢ではなく、睡眠中に論文の構想めいたものが浮かびまして。忘れないうちに書き留めておくことにします。 「岸田政権の支持者こそ、伊藤野枝「火つけ彦七」を熟読…