核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

#ノンフィクション、エッセイ

北大路魯山人『春夏秋冬 料理王国』(中公文庫 2010)より 黒岩比佐子「解説」

すでにご指摘がありましたが、当ブログが2012年3月29日に紹介しました、 (http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/archive/2012/03/29) 『月刊食道楽』1905年8月号(以前に4月号と書いてしまいましたが8月号の誤りでした)、村井弦斎「鮎…

野口啓子+山口ヨシ子編 『ポーと雑誌文学―マガジニストのアメリカ』

彩流社、2001年。巻末に引用文献リストがあります。"Maelzel's Chess-Player”の原文が収録されているのは、 Harrison,James A. "The complete works of Edgar Allan poe" 1965 Thompson,G.R. "Edgar Allan poe:Essays and Reviews” 1984 の2つなのです…

「マルクスの悟達」の異同について

小林秀雄の 「マルクスの悟達」なる文章について、初出(『文藝春秋』1931(昭和6)年1月号)と第五次全集(『小林秀雄全集第二巻 Xへの手紙』新潮社 2001(平成13年))収録文の異同一覧を作りかけたのですが、「1」(初出では「上」)を終え…

ネットで読めるMAELZEL’S CHESS-PLAYER

原則として、インターネット上の資料は、よほど公共性のあるサイトを除き学術研究ではうかつに使用してはいけないことになっています。なので、これは参考程度に。 http://www.eapoe.org/works/essays/maelzel.htm もとの雑誌(?)や全集は国会図書館にな…

小林秀雄「常識」再論(『小林秀雄全集第十二巻 考へるヒント』新潮社  2001(平成13)年)

このブログでもたびたび扱ってきました小林秀雄のエッセイ「常識」ですが、このたびandew様から、 ※ あなたが誠実な方なのであれば、改めて問います。 小林秀雄は、(ポーの理屈ではなく) 「神様(完全知の存在)が二人いないこと」を根拠とした「機械に将…

ポー「メルツェルの将棋差し」(1836 小林秀雄・大岡昇平訳)

『機械のある世界〈ちくま文学の森11〉』(筑摩書房 1988)より。 19世紀のからくり器械をいくつか紹介した後、問題の将棋ロボの考察に入ります。 ※ (バベェジ氏の印刷機能つき計算器の性能は)有限であり、決定されているからである。ところが、「…

小林秀雄 「我が闘争」初出(大容量画像) 『朝日新聞』1940(昭和15)年9月12日

拡大すれば、全文解読可能です。議論はここからです。 (2021・3・31追記 ブログ移転に伴い、拡大しても読みづらくなっていたので、拡大画像を添付し直しました。元の記事は同じものです)

小林秀雄 「我が闘争」初出 『朝日新聞』1940(昭和15)年9月12日

1940年当時の朝日新聞を読める図書館というのも、思ったより少なかったので。 保存して拡大すれば、文字は判読できるはずですが、やっぱり読みづらいですね。いずれもう少し鮮明な画像を用意します。 (2021・3・31追記 鮮明な画像に置き換えまし…

博論のフィナーレはまだか

「博」 「論」 「の」 「フィ」「ナー」「レ」 「博論のフィナーレはまだか」 ♪てけてけ~、てれんてれんてって~。 ・・・専用ソフトを使ってまでやるほどのネタではなかったもので。30分枠の『ルパン三世』を知らない方はご容赦ください。 2004年に…

宮脇真彦「蕉風俳諧の季題と季語」(『日本文学』2011・10)

最近ちょっとだけひまができたので、今まで放置してた古典をあれこれ読んでみてるアンタルです。 そんな中気になったのがこの論文。俳句にはつきものの「季語」の成立を論じています。 ※ 去来の『旅寝論』(元禄十二序)に伝える次のエピソードも、同じ題詠…

黒岩比佐子『パンとペン』より 矢野龍渓『新社会』の地道な影響

都合により、今回の論文には引用できなかった一節です。 ※ 一九〇二年の七月に刊行された矢野龍渓の『新社会』は、社会主義理想小説というべきもので、読者に社会主義について啓蒙する目的で書かれたものだった。政治小説『経国美談』で知られる龍渓が、社会…

論文「矢野龍渓の平和主義」、完成

10月20日の消印のついた投稿原稿が、10月20日の締め切りに通るかどうか。それが問題です。依頼原稿じゃなくてよかった。次こそは締め切りに余裕をもって間に合わせます。 論文書いてる間は音楽聴きたい中将棋やりたいの煩悩でいっぱいだったのですが…

遅起きは210円の損

結局、本日の郵便局が開いてる時間には、今回の論文は間に合いませんでした。 締め切り直前にならないとターボがかからないこの体質、なんとかならないものでしょうか。サーキットの狼か。 今日はひとやすみして、ちょっとだけ中将棋にします。左翼斜線陣は…

心身PCともに不調。

なかなか論文がはかどりません。 気分転換にニコ動とか見てる時は順調なのに、word開いて論文書こうとするとフリーズが続発しまして。 論文自体は書くべきことははっきりしているし、書くに値するとも思うのですけど。 まじめに読んで、真剣に問題を考えてく…

松野翠(木下尚江) 「龍渓氏の『新社会』」

松野翠 「龍渓氏の『新社会』」上下 『毎日新聞』 一九〇二(明治三五)年七月九・一〇日 (上) 「余の尚ほ中学に在るや『論語』の時間を以て窈に『経国美談』を(糸番)き為めに老教師の大叱責を蒙りたることは今に及んで忘れざるなり 龍渓先生の名は、余…

出口智之氏の書評「関谷博著『幸田露伴の非戦思想』」の感想など

ユリアとのデートのために、地下1階のキャッシュディスペンサーで現金をおろすケンシロウ。もちろん、引き出し金額と暗証番号はどっちも199X!次回北斗の拳、「南斗の物価は、あ高かった~」(千葉繁ボイスでお読みください)。 ・・・といった夢を見た…

小林秀雄 「無常といふ事」 初出と全集版の異同について

初出(『文学界』昭和17年6月) 全集(第五次) これは、一言芳談抄のなか これは、「一言芳談抄」のなか この文を徒然草のうちに この文を「徒然草」のうちに 彼も屹度覚えてゐてくれてゐるだらう。 彼笑つて答へなかつたが。 聞いて、彼はそんな風に笑…

小林秀雄にはこりごりでござる、の巻

私の本来の研究対象の一つである『郵便報知新聞』の創始者であり、明治の郵便制度の創設者の前島密(まえじまひそか)は、国語改良運動の一環として「ござる体」を提案していたそうです。通ってたら忍者ハットリくん口調が公式の文体になってたわけで、ニン…

そもそも、なんで小林秀雄を研究しようと思ったのか。

結局、論文は昨日中には完成しませんでした。今夜はひさしぶりに徹夜しそうです。 表題の件に入ります。 あらためて確認しますが、私の文学研究者としての最大のテーマは、「戦争と差別をなくすために、文学は何ができるか?」というものです。 大学院博士課…

大岡昇平に代作を命じた小林秀雄

大岡昇平という作家を尊敬していた時期もあったのですが、買いかぶりだったようです。 大岡昇平 「文学は変質したか」 (『群像』1961年6月号 「常識的文学論」第6回 以下の引用は『大岡昇平集 12』 岩波書店 1983 収録 による) 『新女苑』(「…

井伏鱒二の盗作を絶賛する小林秀雄

今日あたり小林秀雄論を完成させるつもりなので(休日なのです)、論文には使えない資料をいくつか紹介していきます。 「文藝月評 ⅩⅨ」(第五次『小林秀雄全集 第七巻 歴史と文学・無常といふ事』収録。『東京朝日新聞』 1940(昭和15)年1月とありま…

日本ペンクラブ:電子文藝館

「日本ペンクラブ:電子文藝館」を紹介します。 http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/home.html#Mokuzi 入手困難な文献がいろいろ読めます。特に反戦・反核史料と主権在民史料は重宝しています。 いなか住まいで大きな図書館になかなか行けない私にはあり…

田中裕之 「井伏鱒二『お島の存念書』と福地桜痴『高島秋帆』」

博士論文のために集めた資料を整理していると、「面白いんだけど、論文に使うにはちょっと」なネタが出てくるものです。いくつか紹介していきたいと思います。 まず、福地桜痴についての最新の論文、田中裕之氏の「井伏鱒二『お島の存念書』と福地桜痴『高島…

大江健三郎 「私らは犠牲者に見つめられている」 『世界』 2011・5 No.817

前から気になっていたのですが、このたびようやく図書館で借りることができました。 「ル・モンド紙フィリップ・ポンス記者の問いに」という副題があり、ル・モンド紙三月十七日付の記事に加筆したものだそうです。内容は(むしろ無内容はと言うべきか)、以…

北大路魯山人 「弦斎の鮎」

久しぶりに弦斎と食について調べていたら、北大路魯山人の随筆「弦斎の鮎」なるものを発見しました。 http://www.aozora.gr.jp/cards/001403/files/49972_37735.html 青空文庫の上記ページより。初出:「星岡」1935(昭和10)年。以下に一部を引用します。 ※…

我が師よ!あなたもですか!?

『作家と戦争 太平洋戦争70年』(河出書房新社 2011・6・30)なる、できたてほやほやの本を読んでたわけですよ。川村湊×成田龍一や吉本パパバナナ隆明やなんかの、論理も倫理も実証もない文を読みたおして、ようやく実証性のありそうな、吉野孝雄「…

反心理文学論序説

今やすっかり明治マイナー平和小説発掘屋のアンタルキダスですが、昔はこれでも夏目漱石と柄谷行人を愛読する、まっとうな文学青年だったのです。 修士論文は『明暗論・権力と自由』でしたし(歴史から抹消したい)、最初の博士課程入試論文は『横光利一「機…

ヒカリさんだけゴシック体のなぞ、とけた

大江健三郎が家族について書いたものを読んでいると、長男ヒカリさんのセリフだけ、 イーヨーは、もういません! みたいになってることがあります。違和感を感じてたのですが、今さら納得しました。エッセイ「私が、もう、闘いましたからね!」(『ゆるやか…