核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2011-01-01から1年間の記事一覧

アリストパネース 『リューシストラテー』(『女の平和』 紀元前411年上演)

アリストパネースの反戦喜劇シリーズ第二弾を紹介します。 むかしの訳では「アリストファネス」の『女の平和』となっていました。 原題である主人公の名前リューシストラテーは、リューシス(解体)とストラトス(軍隊)の合成語の語尾を女性形にしたもので…

薬師丸ひろ子 「Woman」

1984年の映画、『Wの悲劇』の主題歌です。ようつべより勝手に無断転載。 http://www.youtube.com/watch?v=-VtCYk3AUus 角川三人娘の中では原田知世が一番好きだったのですが(主に歌手として)、この一曲の魅力だけは圧倒的です。薬師丸ひろ子の声が輝…

「風のノー・リプライ」

1980年代のロボットアニメ、『重戦機エルガイム』の主題歌です。 http://www.youtube.com/watch?v=R8K_i758Ba0&feature=related 実は私は本放送を見てなくて、セガサターン版の『スーパーロボット大戦F』でこの作品の存在を知り、DVDを借りてこの曲…

アリストパネース 『平和』 (紀元前421年 上演)

人類が持ち得た最古の平和主義文学。アリストパネースの喜劇『平和』を紹介します。引用は『ギリシア喜劇全集2』(岩波書店 2008)より。 ※ トリュガイオス ゼウスよ、私たちの民族にいったい何をしようとしているのか。 あなたは知らぬ間に諸ポリスを…

博論のフィナーレはまだか

「博」 「論」 「の」 「フィ」「ナー」「レ」 「博論のフィナーレはまだか」 ♪てけてけ~、てれんてれんてって~。 ・・・専用ソフトを使ってまでやるほどのネタではなかったもので。30分枠の『ルパン三世』を知らない方はご容赦ください。 2004年に…

木村昇 「Love is everything」

カラオケの最後は「ルパン三世愛のテーマ」でしめるアンタルですが、最近ひそかにもう一つのEDテーマを練習中です。ほんと、大野雄二にはずれなし。 曲名はあまり知られていませんが、このイントロと映像を見れば、あるいはなつかしく思っていただけるもの…

武田徹 「原発報道とメディア」 講談社現代新書 2011

8月13日の記事(http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/archive/2011/08/13)に、「大江健三郎が福島第一原発建設中には原発推進派であったこと、その過去をひたかくしにしていることは前に述べましたが、武田徹氏の新書にもその指摘があるそうです。…

植木枝盛と矢野龍渓―岩波書店『植木枝盛集』より

日本最初の平和主義者植木枝盛と、日本で最初に「平和主義」の語を用いた矢野龍渓。 2023・7・3追記 「平和主義」という語を日本で最初に用いた例は、矢野龍渓以前にありました。まだ未確定ですが、それも植木枝盛である可能性があります。 接点があっ…

木下尚江 「幸徳秋水と僕―反逆児の悩みを語る」

大逆事件100年、幸徳秋水生誕140年を勝手に記念する特別企画第三弾。1934(昭和9)年刊行の『神 人間 自由』に収録された木下尚江の回想「幸徳秋水と僕」を紹介します。初出は前年4月の東京朝日新聞なのですが、コピーが手元にないもので、筑摩…

木下尚江 「『基督抹殺論』を読む―早稲田雄弁会にての演説」 その2

11月8日に「日露戦争期には「筆の幸徳、舌の木下」と並び称された最強の非戦論者がユニットを解散した経緯については次回で」と書いてから(http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/7052501.html)、だいぶ間が空きましたが、その2をお届けします。引…

植木枝盛 「無上政法論」 1880

「猿人」「帝王」とくればこの人でしょ。明治9(1876)年に「猿人君主」を郵便報知新聞に投書して投獄された、植木枝盛の「無上政法論」(明治13年)を紹介します。序文には板垣退助原案とか書いてありますけど、『明治文学全集12』の解説によれば…

宇宙猿人ゴリなのだ

博士論文結論執筆用BGMその2。 1971(昭和46)年、雨宮雄児 作詞 宮内国郎 作曲 ハニーナイツ 唄。 http://www.youtube.com/watch?v=xx2AJcFlbCk 惑星Eから追放された、人類征服くわだてる、宇宙猿人ゴリとラーの内面を告白した歌です。 劇中では…

大江健三郎 『さようなら、私の本よ!』 講談社 2005

まさかの衝撃。大江健三郎の「小説」で、核兵器の廃絶なんて話題が出ようとは! ※ ―正直に答えていただきたいと、ずっと考えてきたんです(略) あなた(長江古義人。大江っぽい小説家)はいま核兵器を持っている大国が、核兵器を持ち続けること自体に反対な…

大貫妙子 「黒のクレール」

作詞作曲:大貫妙子 編曲:坂本龍一。「Cliche」1982収録、だそうです。 とりあえず結論執筆時のBGMその1に、勝手に採用させてもらいました。 ごみごみした数々のしがらみから解放してくれる、本当に重要なことだけに心を向けさせてくれる曲です。 誰も…

ついに決着の時がきた

のばしのばしにしてきた博士論文『明治の平和主義小説』ですが、ようやく最後の一章を書く段階になりました。 これまで矢野龍渓・福地桜痴・遅塚麗水・村井弦斎・木下尚江の平和論を好き勝手に批評にしてきたわけですが、最後はいわば私が彼らに裁かれる番で…

「萌え絵で読む虚航船団」

http://www.geocities.jp/kasuga399/oebi_kyokousendan1.html 「筒井康隆の実験小説 『虚航船団』 を視覚化しようという無謀な企画。 筒井御大から 「記号への感情移入という行為に視覚化だの萌え擬人化だの…… 上等な料理にハチミツをブチ撒けるがごとき思想…

武田邦彦の原発安全論―『偽善エネルギー』 幻冬社新書 2009

喜べ大江健三郎。君は決して一人じゃない。 (福島原発建設当時の大江の原発推進論については、次の記事http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/3295723.htmlをごらんください) 武田邦彦『偽善エネルギー』(幻冬社新書 2009)から、原子力発電の安全…

カント 『人倫の形而上学』(1797)の戦争観

図書館に返す日が迫ったので、メモ代わりに写しておきます。傍点は下線に。 ※ 戦争への権利については、まず次のような問題が生ずる。すなわち、国家は、自分の臣民たちに対してそもそもどんな権利をもつがゆえに、他国との戦争に対して彼らを使用し、彼らの…

木下尚江 「『基督抹殺論』を読むー早稲田雄弁会にての演説」

1911(明治44)年4月。幸徳伝次郎氏の遺著『基督抹殺論』の書評という名目のもと、早稲田大学大隈講堂での演説の記録です。とりあえず前半をダイジェストでお送りします。 ※ 人の噂も七十五日。無政府党の騒動も最早過去の歴史に埋葬されてしまった。…

摩訶大大将棋

ウィキペディアより、摩訶大大将棋のルールを紹介します。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%91%A9%E8%A8%B6%E5%A4%A7%E5%A4%A7%E5%B0%86%E6%A3%8B ネタぎれっぽい雰囲気。むしろ大大将棋よりも退化してるような印象を受けます。 面白そうなのは「鉤行」と…

PC絶不調

しばらく更新できないかもです。

「俗悪なる平和論」という平和論批判への反論

傍点が出ないので下線に改めました。差別的な言い回しが含まれますが、歴史上の史料なのでそのままとします(引用者)。 ※ 野蛮人の唯一の酔は戦争であつた。さればあの戦争厭ひの感情には、何かの文明的洗練さがあると信じ得るか。文明的趣味性のデリカシイ…

プレイステーション用ソフト 『維新の嵐 幕末志士伝』

流泉小史の『剣豪秘話』は近代デジタルライブラリー等には未収録でしたので、福地桜痴と新選組の関係についての調査はいったん打ち切り、代わりにこちらのPSゲーム『維新の嵐 幕末志士伝』を紹介します。 ウィキペディアより。 http://ja.wikipedia.org/wi…

鈴木亨 『新選組100話』 「8 福地源一郎」

幕末の冒険者、福地源一郎桜痴と新選組の意外な関係。 ※ 8 福地源一郎 試衛館道場を訪れた日本最初の新聞記者 明治になって日本で初めての新聞『江湖新聞』を創刊した福地源一郎(桜痴 おうち)は幕府通辞方だったころ試衛館を訪ねて、その印象を語り残して…

大大将棋

ウィキペディアより、大大将棋のルールを紹介します。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E3%80%85%E5%B0%86%E6%A3%8B 日本人が作ったゲームなのに、「東夷」なんてコマがいるあたりが妙に中華思想。水滸伝だの封神演義だのから空想を広げたんでしょう…

冒険者、福地桜痴!(『懐往事談』)

ヒロイックファンタジーの小説やゲームには、よく「冒険者」と称する、ドラゴン退治やダンジョン探索を生業とする方々がでてきます。この冒険者という言葉、夏目漱石の『門』(1910(明治43))あたりが初出かと思っていたら、福地源一郎桜痴の自伝『懐…

土原耕作 「豚と猪」 (1923)

『オデュッセイア』から『野ブタ。をプロデュース』に至る、世界ぶた文学全集を編纂したい。そんな野望を抱くアンタルキダスのファイルに、また新たな一篇が加わりました。 ※ 豚が猪に向って自慢をしました。 「私ぐらい結構な身分はない。食べる事から寝る…

総合目録ネットワーク(ゆにかねっと)

(追記 2012年1月6日をもって、「国立国会図書館サーチ」(NDL Search)と改称された模様です) 全国の県立図書館の所蔵を確認できる、ゆにかねっとを紹介します。 http://unicanet.ndl.go.jp/psrch/redirect.jsp?type=psrch 全国の大学の所蔵を確認で…

宮脇真彦「蕉風俳諧の季題と季語」(『日本文学』2011・10)

最近ちょっとだけひまができたので、今まで放置してた古典をあれこれ読んでみてるアンタルです。 そんな中気になったのがこの論文。俳句にはつきものの「季語」の成立を論じています。 ※ 去来の『旅寝論』(元禄十二序)に伝える次のエピソードも、同じ題詠…

ソクラテス、敢えて悪法に背く!

7月29日の記事(http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/archive/2011/07/29)で書きました圧制者クリティアスの穏健派テラメネス粛清事件について、新たな史料を見つけたので報告します。 ディオドロス(前1世紀中頃、つまりローマ時代の歴史家)の『…